抜粋された情報を鵜吞みにしない ~「事実」と「真相」~

米大統領選に関連して、もう一つ考えていることがあります。
それが「報道の鵜呑み」。

今回、トランプ氏の過激な発言が幾度となく物議をかもしました。

記者会見や討論会での発言などは、確かに「事実」。
しかし「事実」と「真相」は必ずしも一致しないのです。
なに言ってんの?って思った方も多いでしょう。
じゃあ、今日もちょっとしたクイズを出してみましょうか。

福沢諭吉の書いた「学問のすすめ」の書き出しは、
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言えり」である。○か×か。

…深読みして「漢字が違うんじゃ?」とか、「いや、原文はカタカナ使ってたような…」とか、思っちゃった方もいるかもしれませんが、とりあえずこのクイズの正解は「○」です。
問題は次のクイズ。

福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と主張している。○か×か。

…この答えは、「×」です。

そう。

1問目のクイズでは、「書き出し」という事実を単純に問いかけたのですが、2問目のクイズでは、書き出しの部分が「本当に福沢諭吉が言いたいことなのかどうか」を問いかけている。

実は、有名なあの書き出しの続きはこうなっています。

されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤きせん上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資とり、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今、広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥どろとの相違あるに似たるはなんぞや。その次第はなはだ明らかなり。『実語教じつごきょう』に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。また世の中にむずかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。そのむずかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人という。すべて心を用い、心配する仕事はむずかしくして、手足を用うる力役りきえきはやすし。ゆえに医者、学者、政府の役人、または大なる商売をする町人、あまたの奉公人を召し使う大百姓などは、身分重くして貴き者と言うべし。

「人はみんな平等だよね」と言いたいのではなく、「人ってみんな平等に生まれるはずなのに、なんでこんなに豊かな人と貧しい人に差があるのだろう。実はその答えは、『学ぶか学ばないか』なんだよ」
…ということこそが、福沢諭吉の主張。

今回のトランプ氏の数々の発言も、似たようなことが言えます。
報道で切り取られた部分だけを見ると、どうしてもトランプ氏は「普通なら考えられない暴言を平気で言える人」という印象になりますし、僕自身もそういう印象を第一に抱きました。
しかし同時に、「トランプ氏はなぜこんなことを発言したのか」を考えるようになると、おのずと「報道されていない部分」を見ようという気になってくる。

もちろん私たちにはたっぷり時間があるわけではないし、すべてのニュースの全体像をいちいち見ている暇はありませんが、大統領選のような大きなイベントくらいは冷静に全体像を見極めるようにしたかった・・・と、僕自身も少し反省しているところです。

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